「こんなサービスあったらいいな!」

障害福祉サービスも充実してきた昨今ですが、地域によって受けられるサービスに差があったり、サービスの受給はしているものの契約した事業所の人材不足等のために必要な時にサービスを受けられない場合もあるようです。障害があっても地域で安心して豊かに暮していくために、あるいは親なきあとの本人の選択肢をふやすためにどのようなサービスがあればいいのでしょうか?今回の定例会では共生型サービスを先駆的に始められた富山の事業所の取り組みを取材した番組と、重度の知的障害のある人にも2014年から利用が可能になった重度訪問介護を利用しながら独り暮らしをされている方の動画を視聴し、皆さんで話し合ってみました。

共生型サービスについては定例会に参加された当法人理事長から、育成会5か年計画でも共生型の計画も入れているが共生型は介護事業が中心であり障害分野の充実が難しいことや、給付費の問題がある事などを説明されました。重度訪問介護についてもヘルパースタッフの恒常的な人材不足があり、なかなか稼働できていない状況にあるようです。参加された方からは、「今後はヘルパー事業の充実のために、各移動支援事業所が連携してネットワークを構築して取り組んでいけないものか?」という意見も出て、なるほど!と思いました。今でこそ障害のある人が地域で暮らすための障害福祉サービスが充実してきていますが、一昔前はサービスもなく育成会の会員さんによるインフォーマルの助け合い(互助)で支えあった歴史があるという先輩の会員さんのお話に、若い参加者の方は驚かれていました。障害があっても地域で暮らすために自治会活動への参加や民生員・児童員との繋がりについての話題が広がり、親が高齢化するにつれて地域に暮らす障害のある子どもの存在をご近所に知ってもらう重要性を感じました。民生員・児童員との繋がりはひいては災害時においても有効ではないか?との意見も出ました。障害福祉サービスの充実は重要なことではありますが、育成会の会員同士や地域の方々との繋がりなど人と人とのつながりが大切だと改めて感じた定例会となりました。

次回の定例会は6月29日(土)育成会定期総会を拡大版定例会として実施します。相談支援事業所いんくる所長と4月から開業した長崎市障害者基幹相談支援センター所長に「親なきあとのリアル~相談支援の立場から~」と題してお話しして頂きます。経験豊富なお二人に今まで担当された数多くの実例を基に将来のために今できること、サービスや成年後見制度ではカバーしきれない部分などお聞きしたいと思います。貴重なお話が聴けるものと思いますので、是非お申し込みの上ご参加ください。※なお定期総会は長崎市育成会会員の方がご参加いただけます。(小)

 

 

特別支援学校より「障害基礎年金学習会」にお呼びいただきました。

全国手をつなぐ育成会連合会が、各都道府県育成会に向けて行った障害基礎年金に関するアンケートを基に令和4年「教えて!障害基礎年金」というDVDを作成しました。成人する前の本人さんや親御さんのための内容で、筑波大学の大村先生による詳しい障害基礎年金の解説と、全育連の又村常務理事が進行して社会労務士で親なきあと相談室を主宰されている渡部伸氏に年金申請時の大事なポイントや手順をQ&A形式でお話しいただく2 本立ての内容となります。先日、このDVD視聴を主な柱とした「障害基礎年金学習会」を長崎県立鶴南特別支援学校で実施させていただきました。1時間程度のDVD視聴の後、実際の手続きの流れの説明および既に障害年金の申請を行った先輩としての体験談をお話しさせていただきました。

障害のある子を持つ親の会である育成会会員の”声”を基に作成されたDVDだけあって、障害基礎年金申請のポイントを中心に展開されるQ&Aは、「なかなか他では聞くことが出来ない内容でとても勉強になった。」という感想をいただきました。また経験者として「それまで精神科の受診がなかったので、まず診断書を書いてくださる病院(医師)探しに苦労したが、先輩のお母さんに教えていただいた病院で診断書を書いてもらうことが出来た。」「医師には子どもの日常生活の大変さを理解してもらっていると思っていたが、障害基礎年金申請時の聞き取りに安易に『手助けがあればできる』と答えたのが災いしたのか1級が受給できると思っていたが2級の受給だった。」という話をしました。

DVDの締めくくりに全育連として①知的障害は精神障害と同じ一類型ではなく、固定的な障害としての位置づけを②固定的な障害として、再認定(更新)をなくして永久認定の方向へ③年金が所得保障と位置付け生活の礎であることを明確に④金額を生活保護の水準に!という4点の要望を上げているという説明もありました。参加された皆さんはメモを取られたりしながら真剣にお聞きいただいていました。障害のある人にとっての所得保障といえる障害基礎年金に対する意識をより強く持っていただいたように感じました。(小)