”親なきあと”お金で困らないための準備とは?

先月は”拡大版定例会”として定期総会時に「親なきあとのリアル」と題して、長崎市障害者基幹相談支援センターと相談支援事業所いんくるの両所長に実例を基にお話しを伺いました。アンケートでは具体的な事例を聞くことが出来て大変有意義な総会だったという意見をいただきました。

7月の定例会は”、親なきあと”の話題の中でも特に関心が高いお金のことについて話し合ってみました。まず長崎市育成会でも職員研修に取り入れているeラーニングで『親あるうちに考える”親なきあと”の準備と心構え』という動画を視聴しました。①「お金はいくら必要?」、②暮らしの場によって違う具体的な生活費は?、③「遺言」の必要性、④障害のある子に多くの財産を残したい場合、⑤「遺言執行者」についてなど障害のある子の親にとって気になるテーマばかりの内容でした。

視聴後の話し合いでもお金についてのみならず、障害のある本人の将来の住まいや暮らし方、成年後見制度について、きょうだいに障害のある本人のお世話をどこまでお願いする?など話が広がりました。また、法人でもなれるという「遺言執行者」に長崎市育成会が法人として携わってくれたら助かるのではないかという意見も出ました。いろいろな話題の中でも皆さん共通して関心が高かったのは、グループホームや入所施設への移行のタイミングについてでした。今は親である自分も元気なので直ちにグループホームや入所施設を利用させようとは考えないが、いざ自分が障害のある子の面倒を見れなくなった時に利用したいグループホームや入所施設が満室で利用できない場合どうなるのだろう。また、早い時期からグループホームを利用して、本人が自宅以外の暮らしに慣れるのを見るまで安心できないと仰る方もいらっしゃいました。今すぐに遺言書を作成することはできなくても、以前の定例会でも記入に取り組んだ「親心の記録」への追加記入や家族間での情報の共有など出来ることから取り組まなくてはとの意識を持ちました。

次回の定例会は8月19日(月)10:00~ 育成会大橋事務所会議室 令和6年4月1日に開所した「長崎市権利擁護・成年後見支援センター」から担当の方にお越しいただき、「成年後見制度」と「日常生活自立支援事業」についてお話しして頂きます。支援センターの役割とは?一体どんなお手伝いをしていただけるの?などこの機会に気になる成年後見制度について専門家にお聞きしてみましょう!是非お気軽にご参加ください。

『親なきあとのリアル』とは…?

先月末、長崎市手をつなぐ育成会の総会が行われ、理事長のお話や局長からの啓発事業に関する報告の後、長崎市障害者基幹相談支援センターの神林所長と当会相談支援事業いんくるの松下所長を迎え、『親なきあとのリアル~相談支援の立場から~』と題し話をお聞きしました。

 親の立場からの質問に対し、お二人が相談支援に携わってこられた経験から私たち親に知っておいてほしいこと、備えておいてほしいことなどを例を挙げながら分かりやすくお話しいただきました。両親そろっていてもどちらかが体調を崩すと不安やストレスからもう一方も体調を崩してしまい、たちまちお子さんの生活が困難になることや、配偶者が亡くなり、母と子、父と子の2人になった場合、ひとりっ子の場合、きょうだいがいる場合など、様々な場合についてどのような困りごとが起こるのか、リアルなお話を聞くことができました。また備えがあってよかった例もご紹介いただき、役立つお話も聞くことができました。成年後見制度の話では、育成会の顧問山本弁護士の「後見人を付ける必要性があるかどうか、本人のために動いてくれる親族が2名以上いるかということが成年後見制度を利用する目安」というお話もご紹介いただきました。

 親なきあとは、家族の状況、本人の状況によって変わりますが、日ごろから家族が本人についての情報を共有しておくこと、大切なことは文字に残しておくこと、周囲の人とつながっておくこと、福祉サービス以外の選択肢を増やしておくことなど、たくさんのアドバイスをいただきました。「本人のことを託す理解者・協力者を増やすことは親にしかできない、大切な親なきあとの備えです」という言葉が心に残りました。

7月の定例会では、総会での『親なきあとのリアル』からの延長戦として『どうやって残す?』と題し、親なきあとのお金のことを中心に話し合いたいと思います。

7月17日(水)10:00~12:00

育成会生活支援センター会議室(大橋町)