今回の定例会はコロナ禍の昨今、脚光を浴びるオンラインセミナーを参加者の皆さんと受講しました。このセミナーは障害のある人向けの保険を手掛けられているぜんち共済株式会社様が主催され、知的・発達障害がある人の医療とお金について全国手をつなぐ育成会連合会常務理事兼事務局長の又村あおいさんが講師となりわかりやすく講演されました。前半は「医療」について、特に今一番気がかりな新型コロナウイルスに知的障害のある人が感染した場合、あるいは感染疑義者となった場合のリスクや、ぜんち共済で過去保険料を支払った実績を基に障害のある人がかかりやすい病気のことなども説明されました。後半は地域生活に必要な「お金」について就労形態、福祉サービスの利用、障害基礎年金受給の有無で変わる経済状態をわかりやすく試算表化され解説されました。表にされることで収支のバランスが一目瞭然でわかりやすく、参加者の皆さんも興味深く聞かれていました。最後には全国で視聴されている方から質問も受け付けられ、一問一答形式で丁寧にかつ的確に答えられていました。
セミナー後の参加の皆さんとの話し合いでも、知的障害のある人が新型コロナウイルスの感染者または感染疑義者となった場合の不安や先日長崎県にも接近した大型台風などの災害時避難方法、避難場所など話題になりました。今までの日常と違う新しい生活様式にのっとりながらも色々な事態を想定しなくてはならず、障害のある人の家族としては悩ましい問題です。今回のセミナーは不安要素を洗い出し、共有でき良かったと感じました。また、新型コロナウイルス感染疑義者となった場合の受け入れ機関や対応など直接行政に問い合わせ、その結果を会員の皆様へ広報していきたいと思います。また、今後も今回のようなセミナーがあれば会員の皆様へお知らせしていきたいと思います。
次回の定例会は10月28日(水)10:00~12:00 育成会生活支援センター 会議室にて東京都手をつなぐ育成会主催のオンライン
セミナーを視聴しましょう。テーマは「コロナのなか対人支援が必要な人への『こころ』と『からだ』の距離の上手なとり方」です。周囲の人と適切な距離をとるのが難しい知的障害のある人はコロナ禍の中、どのような支援が必要なのでしょう?皆さんで考えてみましょう。
わが子を手放すとき…
障害のある子の親として、いつかは来るかもしれない”わが子を手放す日”に不安を抱く方は多いと思います。今月の定例会はTVで放映されたドキュメンタリー番組2本を視聴した後、参加者で感想を話し合いました。2本の番組とも強度行動障害のある自閉スペクトラム症の男性が親元を離れるための第一歩を踏み出す姿を描いており、1本目は自分の定年を目前にした父親が終活を考え強度行動障害の息子の将来と向き合いその行く末を考えるというもの、もう1本は強度行動障害の息子を育てる限界を感じもっといい環境で生活させるためわが子を手放すまでの様子を描いたものでした。
現在、全国に8,000人程度の強度行動障害の人がいると思われるものの、その実態は詳細には把握されておらず、番組で取り上げられた2つの家族とも強度行動障害の息子を支える毎日に疲弊し、子どもが安心して生活できる場所を探されていました。昼夜逆転の生活を立て直すための1か月の入院の日、子ども自身が気持ちを落とし込むための長い葛藤の末、自ら入院病棟に入って行く姿に「喜ばしいことだけど切ない」と涙ながらに心情を吐露されるお母様の姿に、胸を締め付けられる思いでした。子どもへの愛情だけではどうしようもない現実を突きつけられた一方で、強度行動障害がありながら24時間3交代の重度訪問介護サービスを受け、アパートで独り暮らしをされている男性の姿に勇気づけられた参加者の方もいらっしゃったようでした。わが子の将来についてお聞きすると「今は(障害のある子どもと)二人暮らしで子どもがいないと自分自身がダメになってしまいそう」「親子3人、今は幸せ。先のことはその時考える」「自分(親)の入院をきっかけにショートステイを利用し始め、今年の春からグループホームに入居している」「施設入所を考えているが自分が元気な時はまだ大丈夫!体調が悪いと明日にでも入所させなければと思いが揺れ動く」など参加者の皆さんも将来について考えは様々でした。いずれにせよ相談支援事業所や福祉サービス事業所、それにもまして何かあったら手助けしてくれる親同士とつながり、家族だけで孤立しないことが大切だと改めて感じた定例会でした。
次回の定例会は9月12日(土)10:00~12:00
育成会生活支援センター 会議室
ぜんち共済主催のオンラインセミナー「知的・発達障がいのある人の『医療とお金』」を皆さんで受講したいと思います。全国手をつなぐ育成会連合会の又村あおいさんが講師として、知的障害のある人の医療とお金について講演されます。貴重な研修会の機会ですので、皆さんお気軽にご参加ください!
子育ての悩み どうしてる?!
7月の定例会は、会員でない方もお誘いし、学齢期のお子さんをお持ちのお母様たちと「子育ての悩み、どうしてる?」というテーマで話し合いました。
お悩みで複数の方が挙げられたのは、初めての場所あるいは新しく会った人に対し困らせる行動をして、相手の反応を窺う試し行動に困っているというものでした。本人なりのコミュニケーションの取り方なのかもしれませんが、唾を吐いたり相手の嫌がる言葉を言ったり人を押したりすることは、親にしてみればやめてほしい行動です。慣れればしなくなると分かっていても、人目もあり注意しないわけにはいきません。親の怒る表情を見てさらに喜ぶという場合もあり、とてもお困りの様子でした。さらに、できるのにできない振りをして相手の出方を見るというある意味高度な甘えのテクニックを駆使する(?)お子さんもいました。また手持ち無沙汰になると爪を切ったり手足の皮膚をむしったり自分の身体をつねる行動をとるお子さんもいて、はさみや爪切りを隠したり、できるだけ手持ち無沙汰にならないよう気を付けているというお話も複数の方からありました。これらのやめてほしい行動に対しては「してはダメ」という声掛けより「しなくて偉かったね」という、しなかったことを褒めるという方法が提案されていました。
悩みを誰に相談するかという話題では全員が療育施設や学校のママ友を挙げられ、同じ境遇のなかまの存在はいつの時代にも大きな力になるようです。残念ながら相談相手にはあまり名前の挙がらなかったご主人についてお尋ねしたところ、「悩みを解決するまでの過程を知ってほしいのに結論ばかり口にする」「わが子との相性がいまいち」「主人だけど長男のような存在」「普段いないのでほぼ事後報告」「わが子のできることとできないことが分かってない」など、厳しい意見が多数でした。もちろん「送迎をしてくれる」「ダイナミックな遊びをしてくれる」など障害のあるお子さんのことはかわいがってくださっている様子が分かる意見もあったことをお父様の名誉のため付け加えておきます。
8月の定例会ではテレビのドキュメンタリーのDVDを観て「親の終活、わが子の将来」というテーマで話し合いたいと思います。
と き:8月20日(木)10:00~12:00
ところ:育成会生活支援センター(大橋町)会議室
長崎県立美術館発「青い紫陽花プロジェクト」
長崎県立美術館では、新型コロナウィルス感染症への対応が続く中、医療従事者を始め頑張ってる人たちへの応援や感謝を表す取り組みとして、5月末より「青い紫陽花プロジェクト」がスタートしていました。この情報を得たタイムケアのスタッフが早速長崎市の日中一時支援事業タイムケアと長崎市育成会の本人向け余暇活動「夢くらぶ」の中で作品作りに取り組んでくれました。このプロジェクトは青い紙を使って貼り絵で青い紫陽花を描くというものでした。
タイムケア・夢くらぶの参加者のみなさんも熱心に取り組まれ、時には自分で、また時にはスタッフやヘルパーさんの助けを借りながら紫陽花や雨、カタツムリなど、思い思いの作品を完成させていました。
個性豊かなみなさんの作品をご覧ください。
県立美術館に寄せられた作品は150点にも上り、長崎市手をつなぐ育成会を始めすべての作品がホームページで紹介されています。
https://edublog.nagasaki-museum.jp/post/621966906514128896/
「事業所での困りごと どうしてる?」
多くの障害のある人は日中支援事業所(就労支援継続事業所、生活介護事業所など)や相談支援事業所、加えて移動支援や短期入所、また学齢期の人の場合は放課後等デイサービスなど様々な障害福祉サービス事業所を利用されているのではないでしょうか。皆さんはそれぞれの事業所での出来事や支援に対する疑問、要望はどのように伝えられているのでしょう。6月の定例会では、参加者の皆さんに日頃、福祉事業所とどのようにやり取りをされているか話し合ってみました。
要望や疑問があるとオブラートに包まずすぐにストレートに伝えると言われる方(回りくどく言うと正確に伝わらない場合がある)、言いたいことがあっても自分の子どもに原因があると諦めてしまう人、言いたいことがうまく伝わらず気分を害した支援員にわが子が冷たく接されるのではないかと不安があり言えない、今は安定して通えているので取り立ててやり取りする必要性を感じていないなどいろいろな意見が上がりました。また伝達の手段も連絡帳でやりとりされている方、直接事業所に出向き担当者や施設長に話されている方、電話で伝える方など色々な方法で伝えられているようでした。中には携帯電話のメール機能を活用し、事業所での様子をエピソードを交えて写真と共に受け取られているという方もいらっしゃいました。家庭では見せない一面を見られたり、親ができないと決めつけていたことを思いがけず事業所でできた時の発見を共有することができたお話に、そういう方法もあったのかと共感される方もいらっしゃいました。
いずれにしても事業所とうまくやっていく秘訣は、遠慮しないで小さな疑問にしろ要望にしろ感じた時に早急に言うことが大事ではないかという意見がありました。直接伝えることで一時的に支援職員と関係性が悪くなったこともあったが、お互いに話し合いを重ね関係性も良くなったと話された方もいらっしゃいました。何か言いたいことがあっても「どうせ言っても分かってもらえない」と諦めず、小さな事でもコミュニケーションを取っていく努力を重ねることが必要だと感じました。親も事業所もお互いに「言いたいことが言えない雰囲気になってないか?」と考えて、風通しの良い事業所作りを目指してほしいと感じた定例会でした。
次回の定例会は7月15日(水)10:00~ 育成会大橋事務所会議室で「子育ての困りごとどうしてる?」というテーマで話し合ってみましょう!今回は育成会会員で無いの方も参加いただけます。困りごとという捉え方も単なるわがままなのか?こだわりなのか?それとも子ども自身でもどうしようもない障害特性からなのか?他の皆さんのお話や先輩の経験談にもしかしたらヒントがあるかもしれません。お気軽にご参加ください!
「ケアホーム陽香里」の見学に行ってきました!
「長崎市南部にもグループホームを!」と長く願い続けられてきた会員さんたちの思いが叶い、香焼町に”ケアホーム陽香里”が完成しました。男性6名、女性4名計10名の入居者を迎え、いよいよ6月に開所となります。
コロナウイルスの感染拡大防止のため3,4月は中止していた会員定例会ですが、6月は施工された積水ハウスさんの見学会に定例会で参加してきました。現地では”ケアホーム陽香里”の仁科主任に対応していただきました。
次回の定例会は「事業所の困りごと どう伝えてる?」というテーマで話し合います。日中事業所だけでなく短期入所や移動支援など、いまや複数のサービスを利用するのは当たり前の時代です。悩んでいることや困っていることをどう事業所に伝えればいいのか、またこんな対応してもらって助かったというお話など、いろんなお話を聞かせてください。
とき:6月22日(月)10:00~12:00 ところ:大橋町生活支援センター会議室
緊急事態宣言発令に伴う活動中止について
4月7日(火)に政府より緊急事態宣言が発令され、皆様も不安の中日々過ごされていることと思います。長崎はまだ新型コロナウィルス感染者の爆発的な増加には至っていませんが、私たちも三密(密閉、密集、密接)を避け予防に努めていかなければと感じています。今、様々なイベントも中止になっていますが、長崎市手をつなぐ育成会でも毎月1回のペースで実施している会員定例会を、3月、4月と新型コロナウィルスの影響拡大を考慮し中止にしました。
また、本人向けの活動として行っている夢くらぶ、お楽しみ倶楽部、フラワーアレンジメント教室、書道教室、日中一時支援事業タイムケアについても緊急事態宣言は当県には発令されていませんが、不要不急の外出を控え三密を避けるため中止を決定しました。ほとんどの活動は室内で実施しており、ご本人たち同士近づかないようにすることや、近くでおしゃべりしないように徹底するのは難しく、障害のある方たちの中には抵抗力の弱い方、体調が悪くてもうまく伝えられない方も多く、集合場所に公共交通機関を利用される方もいらっしゃることなど様々な要素を考え中止という結論に至りました。参加を楽しみにされていたご本人たちのことを思うとつらい決断ですが、今は感染のリスクを避けることが一番大事だと考えています。
一日も早くこの事態が収束して、以前のように自由にいろいろな活動が出来る日々が戻ることを願っています。5月の会員定例会も今後の状況を見て実施を検討したいと思います。皆様もくれぐれもご自愛の上、気をつけてお過ごしください。
「みんなで語ろう!親の楽しみ」
ここ最近の定例会は、「長崎よかよか隊」で行っている感覚過敏や不器用さの体験を通して障害特性について話し合ったり、NHKの「おはよう日本」で特集された”骨折しても痛くない”~知られざる発達障害「感覚鈍麻」~を視聴し感覚の問題についてスポットを当てた話し合いを行ってきましたが、今回はガラッと内容を変えて、自分(親)や家族の楽しみについて話し合いました。
人間誰しも日々の生活の中で多かれ少なかれストレスを感じているものです。障害のある子の親は、障害特性への対応や福祉サービスの利用、健康管理など障害のない子の親に比べてストレスを感じることは多いような気がします。”楽しみ”はそんなストレスを軽減してくれたり、元気の素にもなります。参加者の皆さんに「あなたの楽しみはどんなことですか?」とお聞きすると、好きなアーティストのライブに行く、友達と旅行やランチに行く、映画、フラダンス、読書など様々な楽しみ方をされているようでした。皆さんご自分の楽しみのことを話される時は、笑顔になられとても幸せそうでした。また、他の方のお話をお聞きになり、新たな発見をされた方もいらっしゃり、「そういう楽しみ方があったのか!」と話される方もいらっしゃいました。毎日の生活や仕事でのストレス解消や息抜き、もしかしたら目標にもなり得る楽しみを見つけながら、生活することは大切だと感じました。毎日の生活の中での細やかな”楽しみ”が、引いては障害のある子どもへの接し方に余裕をもたらしてくれるかもしれません。
次回の定例会は3月19日(木)10:00~12:00 育成会大橋事務所会議室で「事業所の困りごとどうしてる?」というテーマで話しあってみましょう。毎日わが子が通っている日中事業所、相談支援事業所など利用している障害福祉サービス事業所で何か困ったことがあった時、どうしていますか?「事業所はどう対処してくれるの?」「満足して通っているのかな?」「こんな支援(配慮)をしてもらっている!」「うちの子が通ってる事業所の自慢をさせて!」など話し合ってみましょう。 皆さんお気軽にお越しください!
「長崎よかよか隊」令和2年初出動!!
平成30年より活動を開始した長崎市手をつなぐ育成会の理解啓発キャラバン隊「長崎よかよか隊」が令和2年初出動したのは雲仙市国見町にある地域就労事業所「野の花風館」さんでした。
数年前から、特に発達障害についての理解を深める勉強をされているとのことで、これまで主に知的障害のある人たちの理解啓発活動をしていた私たちは依頼をいただき、発達障害についての内容を増やして臨みました。「感覚過敏と鈍麻」の体験や指先が思うように使えない「不器用さ」体験、知的障害や発達障害についての話、知的障害のある小学生Aくんのストレスフルな1日を描いたストーリー「Aくんのいちにち」を聞いていただきました。参加されたのは事業所の利用者さん、職員さん、ご家族のみなさん方で、とても熱心に聞いていただきました。
お知らせ
2月23日(日)10:00~12:00 「療育を考える親の会 つなぐ」様よりご依頼いただき 愛の夢未来センター(雲仙市愛野町乙526番地1)にて知的障害・発達障害の理解啓発活動のため出動します!興味のある方はぜひご参加ください。 参加費500円(お子様無料)です。
お申し込み (株)こぴっと℡090-8836-8405/FAX0957-73-9504
「体験してみようキャラバン隊!」
今月は「体験してみようキャラバン隊!」と題して、定例会を開催しました。障害理解啓発活動の切り札として全国手をつなぐ育成会連合会が期待を寄せ、数年前から全国各地の育成会で発足の機運が高まっているのが障害理解啓発キャラバン隊です。長崎市手をつなぐ育成会でも2018年夏からキャラバン隊”長崎よかよか隊”を発足し、現在21回の出動を行っています。今回の定例会では参加者の皆さんに実際に行っているプログラムを体験していただきました。自閉症・発達障害を含む知的障害のある人の中には知的発達の遅れだけでなく、身体的感覚の過敏さや鈍感さ(鈍感は気が利かないという意味なので、正しくは感覚が鈍いという意味の鈍麻)があると言われています。実際、定例会などでもわが子の感覚過敏や感覚鈍麻についての話になると、参加者の皆さんから大変多くのお話を聴くことが出来ます。今回はいろいろなプログラムの中から特に知っていただきたい「感覚過敏と鈍麻」「手先の不器用さ体験」を体験していただきました。体験の後は感想や実体験を話し合いましたが、参加者の皆さんそれぞれ、わが子の感覚について様々な対応をされていることに驚きました。声かけもついつい急かしたり、抽象的な表現を使ってしまいがちなので、本人の自己肯定感を損なわない声かけを心がけていきたいと言われる方もいらっしゃいました。参加者の皆さんは、改めて感覚過敏と鈍麻の奥深さを再認識されたようでした。一方で感覚過敏または鈍麻からの行動なのか、それともただ単にこだわりからきている行動なのかを見極めることも大事だと実感しました。
次回の定例会は「みんなで語ろう親の楽しみ」と題して、自分の楽しみや家族の楽しみについて話し合ってみましょう!皆さん、どんな楽しみでストレスを解消されているのでしょう?何か参考になるヒントが聞けるかもしれません。
日時:2月19日(水)10:00~12:00
場所:大橋町 育成会本部事務局会議室