わが子を手放すとき…

 障害のある子の親として、いつかは来るかもしれない”わが子を手放す日”に不安を抱く方は多いと思います。今月の定例会はTVで放映されたドキュメンタリー番組2本を視聴した後、参加者で感想を話し合いました。2本の番組とも強度行動障害のある自閉スペクトラム症の男性が親元を離れるための第一歩を踏み出す姿を描いており、1本目は自分の定年を目前にした父親が終活を考え強度行動障害の息子の将来と向き合いその行く末を考えるというもの、もう1本は強度行動障害の息子を育てる限界を感じもっといい環境で生活させるためわが子を手放すまでの様子を描いたものでした。

 現在、全国に8,000人程度の強度行動障害の人がいると思われるものの、その実態は詳細には把握されておらず、番組で取り上げられた2つの家族とも強度行動障害の息子を支える毎日に疲弊し、子どもが安心して生活できる場所を探されていました。昼夜逆転の生活を立て直すための1か月の入院の日、子ども自身が気持ちを落とし込むための長い葛藤の末、自ら入院病棟に入って行く姿に「喜ばしいことだけど切ない」と涙ながらに心情を吐露されるお母様の姿に、胸を締め付けられる思いでした。子どもへの愛情だけではどうしようもない現実を突きつけられた一方で、強度行動障害がありながら24時間3交代の重度訪問介護サービスを受け、アパートで独り暮らしをされている男性の姿に勇気づけられた参加者の方もいらっしゃったようでした。わが子の将来についてお聞きすると「今は(障害のある子どもと)二人暮らしで子どもがいないと自分自身がダメになってしまいそう」「親子3人、今は幸せ。先のことはその時考える」「自分(親)の入院をきっかけにショートステイを利用し始め、今年の春からグループホームに入居している」「施設入所を考えているが自分が元気な時はまだ大丈夫!体調が悪いと明日にでも入所させなければと思いが揺れ動く」など参加者の皆さんも将来について考えは様々でした。いずれにせよ相談支援事業所や福祉サービス事業所、それにもまして何かあったら手助けしてくれる親同士とつながり、家族だけで孤立しないことが大切だと改めて感じた定例会でした。

 次回の定例会は9月12日(土)10:00~12:00
 育成会生活支援センター 会議室
 ぜんち共済主催のオンラインセミナー「知的・発達障がいのある人の『医療とお金』」を皆さんで受講したいと思います。全国手をつなぐ育成会連合会の又村あおいさんが講師として、知的障害のある人の医療とお金について講演されます。貴重な研修会の機会ですので、皆さんお気軽にご参加ください!