平成29年1月21日(土)に法人の全職員を対象とした育成会職員研修会が長崎市総合体育館2階大研修室で開催されました。
午前中は、法テラスの伊藤岳弁護士をお招きし、「障害者虐待防止法と障害者差別禁止法について」講義をしていただきました。
障害者虐待防止法は、障害者を養護する人の中で、いろいろな原因により家庭生活がうまくいかず虐待してしまうケースが多く、この法律は養護者を支援するという大きな目的もある様です。虐待通報では、確定的認識を持たなくても「虐待と思われる」時に通報義務を課すことにより、虐待事案の早期発見を図っているとのお話でした。
虐待防止法では、通報者と家族との関係性に配慮し、通報者の情報を漏らしてはならないと規定されており、行政では、家族の抱えているストレスを傾聴し、継続的な訪問や見守り、福祉サービスの導入など養護者の支援を重要と捉えている様です。
障害者差別禁止法に合わせて長崎県づくり条例についても学ばせていただきました。障害というものをマイナス要因と捉える医学モデルと異なり、障がいのある人が日常生活や社会生活の中で障壁となるものがあることで障害となるという社会モデルの考えのもとに、分かりやすく事例を挙げながら、実は社会のあり方に問題があることを学びました。
伊藤弁護士のお話は、とても分かりやすく、法律の難しい部分を身近に感じました。また私たちのあるべき支援やすべき事を考える良いきっかけを作っていただきました。ありがとうございました。
午後からは、今年度で3年目となる「事業所の取り組み発表」を行ないました。今年度は、ヘルパーステーションと啓発・タイムケア事業と相談支援事業所いんくるが発表を行ないました。
ヘルパーステーションは、「障害者福祉サービスから介護保険サービスへの移行支援について」というテーマで発表がありました。各関係機関と連携し情報収集や共有を図り、障がい者の受入れの経験が少ない介護事業所に向けて、障害者支援に対しての啓発活動を行なっているという取り組み内容でした。
実際に移行された利用者は、支援者の予想と違いデイサービスなどを気に入るケースが多く、しっかりとアセスメントを行い、その人にあった事業所への情報提供を行うなど丁寧に支援されていました。
啓発・タイムケア事業は、「伝える≠伝わる」のテーマで「伝える」と「伝わる」の違いを「伝わらなかった」事例に基づきその原因について探り、本人が正しく理解するために「分かりやすいポイント」を探求していくという取り組みでした。支援者が陥りがちな事例が多く、支援を振り返る良い機会となりました。
本人たちがこの人に伝えたいと思う支援者になる事、本人からのメッセージをどれくらいキャッチできるのかとの投げかけがありました。
相談支援事業所いんくるは、「本人の思いを尊重する」というテーマで、2つの困難事例の発表がありました。両事例とも苦慮する点が多くありながらも、本人の思いや現状、今後の生活をまず大切に考え、各関係機関との連携を図り、本人にとっての最善の利益を重視した支援内容でした。
研修者全員で「本人の思いをどこまでも聴き取る事が支援の根拠である」という事を確認しました。
最後は、毛利課長より、育成会の職員として必ず知っておいて欲しい事として「法人の理念」「育成会職員行動規範」「接遇」についての話がありました。育成会職員の一員として、理念を念頭に置き、指針をいつも胸に、求められる支援像を目指していきます。
今年度の研修会も、とても充実した内容でした。支援者として利用者の言葉、表情、身体表現、行動からその意思を汲み取り、その利用者がこの人に伝えたいと思う支援者になる事を目指していきたいものです。